【調剤薬局の薬剤師必見】在宅往診に慣れていない医療機関との連携【在宅医療】



こんにちは、しきぽんです。

高齢化問題がいよいよ深刻になってきている昨今、在宅医療の需要が日ごとに増してきていますね。私自身、日々の業務を遂行する中で、それを強く感じるようになりました。。

実際、紹介されてくる患者数も、前年比160~200%とかになっているので、人手が全く足りていません。人事さん、どうにかしてくれーい(´;ω;`)

さてさて、茶番はこのくらいにしておきましょう(笑)

調剤薬局にお勤めの薬剤師さんであれば、一度は在宅医療に携わったことがあると思います。

そんな中、普段は関わりがない医療機関から「在宅医療の対応をしてくれないか」と言われたことはありませんか?

毎日営業をしているけど、病院側から指名されたことなんてないよ! という方もいるかも知れません。

しかし、ある程度「在宅対応ができる薬局」として認知されてくると、結構えげつない依頼が舞い込むようになります。

中には、「在宅医療をまったくやったことがなくて、どんな算定が取れるかわからない。末梢点滴を処方で出したいけど、在宅中心静脈栄養法指導管理料って取れるかな?」と尋ねて来られるお医者さんもいらっしゃいます。

「終末期で食事はほとんど出来ない。でも、そのままにしておくのは忍びない。何を使っていいかも分からないし……どうしたらいい?」

電話口でこういった相談をされた時、皆さんはどのように答えますか?

今回の記事は、そんな事例を紹介する内容となっています。

前置きが長くなってしまいましたが、そんな感じで初めていきましょう!

ケース

とある内科医院からの紹介。

80歳代女性。

基礎疾患や現在の病状等、何の情報もない中で「在宅対応をお願いしたい」との連絡がはいる。

現在使用中の薬剤

・アセテート維持液3G    500ml
(24時間かけて投与)
・塩化カリウム20mEq   0.5筒
・フロセミド注射液20mg  1管

上記内容の点滴を明日から開始したいとのこと。

まずは患者の基礎情報を可能な限り確認していきましょう。

その上で現在の状態把握を行います。

個人情報に抵触しそうなので、細かな病状は伏せておきますが、

・浮腫強いためフロセミドを投与
・採血でカリウム数値低くなったため塩化カリウムを投与
・点滴についてはこだわりはないから、なんでもいい
・終末期で、予後は週単位
・癌などの明確な疾患はなく、老衰傾向

といった感じでした。

その上で、両者(医院と薬局)が互いに損をしないような薬の出し方を希望したい、とのこと。

薬剤の払い出し方法についての相談が、今回の電話の肝だったようです。

正直得られる情報があまりにも少なかったので、大事そうな部分だけ拾い上げていきます。

医師とのやり取り

薬「浮腫が強いのに点滴を実施しているのには理由がありますか?」

医「ああ……彼女は私の母なんだが、食事がとれない中、何もしないのも気が引けてね」

薬「なるほど。末梢点滴500mlを24時間かけてということは、お母さまの身体は水分などの処理能力がかなり落ちているんですね」

医「そうなんだ。CVポートがあるから、そこから投与している。高カロリー輸液も考えたんだけど、知り合いの医者からアドバイスをもらってね。『それだと逆に負担になるだろう』と」

薬「確かに。そうした状態であれば点滴を実施しないことも多いですから、仰る通りだと思います。しかし、それは24時間投与を想定したものですよね?」

医「そうだね。だから、末梢点滴を出そうと思ったんだけど、これを処方で出していいのかわからなくて。それに、アセテート維持液だと在宅中心静脈栄養法指導管理料は取れないよね?」

薬「はい。算定は出来ません。また同時に、ルート関係の加算も取れなくなります」

医「どうしたらいいかな?」

薬「選択肢としては二つあります。一つはアセテート維持液で対応を開始する方法。もう一つは、○○(高カロリー輸液)を48時間かけて投与する方法です」

医「しかし、高カロリー輸液は身体に負担になるのでは?」

薬「はい。しかし癌患者の悪液質の状態というわけでもありませんし、血管内脱水といった症状があるわけでもないので、1日の水分量を調整してあげれば投与することは可能と思われます。カリウム数値についても、アセテート維持液にKCL10mEq分を追加するのと大きな違いはありません」

医「それならば処方で出せるし、在宅中心静脈栄養法指導管理料も算定できるというわけか」

薬「ですが、フロセミドを処方で払い出すのは難しいと思われます。そちらについては病院からの払い出しという形を取らねばなりません」

医「わかった。とりあえず高カロリー輸液で対応しよう。今の内容をまとめたものを、後ほどFAXしてもらえるかな?」

薬「承知しました。医療材料についてはこちらにもストックがありますので、もし必要ならばお声がけください。分譲させていただきます」

医「ありがとう」

※腎機能や輸液の組成についての詳細な情報は割愛しております。

まとめ

個人的には点滴を中止するのがベターだと思っています。

しかし、「食事がとれない中で、何もしてあげないのも心苦しい」という言葉は、よく耳にします。理屈ではなく、感情の世界なので、こうした考えがあるのは当然です。

そんな中、出来るだけ身体に負担がかからないように処方内容を設計していくのが医療人の責務の一つだと感じています。

なお、今回の事例、アセテート維持液を対応することになっていたら、ちょっと面倒なやり取りが生じてしまいます。医院には点滴在庫が全くと言っていいほどないため、必然的に薬剤は薬局が揃える流れになります。となれば、後のやり取りは決まっていますね。

支払いをどうするのかとか、価格をどうするのか、とか……交渉の席につかなくてはなりません。

末梢輸液も都道府県によっては処方で出せなくもないのですが、この辺りはグレーの中のグレーですので、触れない方が賢明です。私も言及はしません。気になる方はDMとかお問い合わせからご連絡ください。

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