【2026年衆院選】しばき隊による選挙妨害の実態と法的論点|大阪5区で何が起きているのか



目次

【結論】民主主義の根幹を揺るがす組織的選挙妨害が発生中

2026年衆議院総選挙の大阪5区において、「しばき隊」と呼ばれる活動家集団による組織的な選挙妨害が深刻化しています。特定の保守系候補者に対し、大音量の騒音や物理的な包囲によって演説を成立させない状態が続いており、公職選挙法第225条(選挙の自由妨害罪)への抵触が疑われています。

問題の核心は、2024年の「つばさの党」事件で「演説が聞き取れない状態を作ること自体が違法」という基準が確立されたにもかかわらず、大阪5区では警察が「静観」を続けていることです。この状況は法執行の「ダブルスタンダード(二重基準)」として批判を受けており、有権者の「聴く権利」が侵害される事態となっています。

本記事では、現地で何が起きているのか、法的にどのような問題があるのか、そして警察の対応がなぜ批判されているのかを、調査資料に基づいて詳しく解説します。選挙という民主主義の根幹に関わる問題として、多くの有権者に知っていただきたい内容です。

大阪5区で発生している選挙妨害の実態

激戦区・大阪5区の構図

大阪5区は大阪市東淀川区、淀川区、西淀川区、此花区をカバーする選挙区で、主要政党が知名度の高い候補者を擁立する激戦区です。自民党の杉田水脈氏(元職)、日本維新の会の梅村聡氏(前職)、れいわ新選組の大石晃子氏(前職)など、各党の有力候補が競い合っています。

この選挙区で特に問題となっているのは、杉田水脈氏や日本保守党の島田洋一氏(比例代表・近畿ブロック単独立候補)といった保守系候補者に対する組織的な妨害活動です。妨害側は、これらの候補者の過去の発言を「ヘイトスピーチ」と断定し、演説を物理的に阻止することを正当化しています。

「音響制圧」による演説の無力化

妨害行為の中核をなすのが、候補者の声を物理的にかき消す「音響制圧」です。候補者がマイクを持って話し始めた瞬間、大音量のドラム、笛、サイレン、音楽を鳴らしたり、拡声器を使って怒号を浴びせたりします。

この結果、至近距離にいる聴衆でさえ演説内容を聞き取れない状態が作り出されます。これは単なる「ヤジ」の範疇を超え、演説という行為そのものを物理的に「不成立」に追い込む戦術といえます。有権者の「聴く権利」が完全に侵害されている状態です。

身体的な包囲と執拗な「つきまとい」

音だけでなく、肉体的な圧力をかける行為も常態化しています。演説エリアの境界線ギリギリまで詰め寄り、候補者の顔面数センチメートルの距離までスマートフォンやプラカードを突きつける威圧行為が報告されています。

さらに深刻なのは、街頭演説の場だけでなく、候補者が休憩のために立ち寄る店舗や移動中の車両にまで執拗につきまとうストーカー的な行為です。これらは心理的な圧迫を与えるだけでなく、物理的な接触を誘発してトラブル化させる狙いもあると指摘されています。

デジタル動員による「ゲリラ演説」の無力化

妨害活動の高い機動性を支えているのが、SNS(特にX、旧Twitter)を活用した「デジタル動員」システムです。候補者が告知なしに行う「ゲリラ的」な街頭演説であっても、即座に捕捉・包囲される体制が構築されています。

具体的には、候補者が街頭に立った位置情報がSNSで即座に拡散・共有され、近隣にいる妨害員が現場に急行します。これにより、演説開始からわずか5分~10分以内に妨害活動が開始できる体制が整えられているのです。

「しばき隊」とは何か|その正体と主張

「カウンター」を自称する活動家集団

大阪5区で活動する妨害勢力は、自らを「しばき隊」や「カウンター(対抗者)」と呼称しています。彼らは自らの行為を選挙妨害ではなく、「ヘイトスピーチや差別に対する正当な社会的制裁」であると主張しています。

彼らの論理の根幹にあるのは、「不寛容に対する不寛容」という考え方です。「差別を行う者(不寛容な者)に対しては、寛容である必要はなく、その発言の自由も認めるべきではない」という信念に基づき、演説を物理的に成立させなくすることを正当化しています。

攻撃対象の「認定」基準

彼らが攻撃対象とする候補者には、特定の「認定」がなされています。杉田水脈氏については、過去に雑誌への寄稿で「LGBTには生産性がない」と記述したことや、特定の民族団体・支援団体への批判的な言動が根拠とされています。

島田洋一氏については、「男系男子による皇位継承の維持」や「選択的夫婦別姓への反対」といった保守的な政策を掲げていることが「多様性の否定」「差別的価値観」とみなされ、攻撃の正当化理由とされています。

「法的武装」による逮捕回避戦術

妨害を行う側も法律を熟知しており、警察が介入しにくいギリギリのライン(グレーゾーン)で活動しています。「公務執行妨害にならないよう警察官には絶対に触れない」「任意同行は拒否する」「逮捕されたら黙秘する」といったノウハウ(マニュアル)が共有されています。

これにより、警察に逮捕の口実を与えないよう行動しながらも、実質的な妨害活動を継続するという戦術が実行されているのです。

法的論点|公職選挙法225条と「選挙の自由妨害罪」

公職選挙法第225条の構成要件

公職選挙法第225条は「選挙の自由妨害罪」を規定しています。この法律は公正な選挙を確保するために、候補者や有権者に対する暴力、脅迫、または集会・演説の妨害などを禁止するものです。

具体的には3つの類型が定められています。第1号は「暴行・威力・拉致」で、候補者や選挙運動員、有権者に対して暴行を加える、威力を示す、または連れ去る行為を禁止しています。第2号は「交通・集会・演説の妨害」で、交通や集会の邪魔、演説を妨害する、選挙ポスターなどを破る行為を禁止しています。第3号は「利害関係を利用した威迫」です。罰則は4年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金と定められています。

「演説の妨害」が成立する基準

最も判断が分かれやすいのが、街頭演説に対する抗議活動が「妨害」に当たるかどうかという点です。「表現の自由」との兼ね合いが議論になりますが、以下の基準を超えると違法性が認定される可能性が高くなります。

まず、「聴取不能な状態の作出」です。単なるヤジではなく、拡声器や太鼓、笛などの楽器を用いて候補者の演説がかき消され、聴衆が演説を聞き取れない状態にすることは「妨害」とみなされます。これは有権者の「聴く権利」の侵害に当たります。

次に、「継続性と執拗さ」です。一時の感情的な発言ではなく、長時間にわたり執拗に演説を妨げたり、選挙カーを追い回して進路を塞ぐなどの行為は、選挙の自由を侵害するものと判断されます。

そして、「物理的な接近と威圧」です。候補者の至近距離まで詰め寄り、プラカードを突きつけたり、多人数で取り囲んだりして心理的な圧迫(威力)を加える行為も、演説の継続を困難にするものとして罪に問われる可能性があります。

「威力」の法的定義

ここで重要なのは、「威力」という言葉が物理的な暴力に限らないという点です。最高裁判所の判例等に照らすと、「威力」とは「相手の自由意思を制圧するに足りる勢力を示すこと」と定義されています。

これに基づき、必ずしも身体への接触(暴行)がなくても、多人数による怒号や、太鼓・拡声器などを用いた大音量の騒音によって候補者を精神的に消耗させ、演説を中止や不能に追い込む行為は「威力」を用いた妨害に当たると解釈されています。

「つばさの党」事件との比較|なぜ大阪では逮捕されないのか

2024年「つばさの党」事件の概要

2024年の東京15区補選において、政治団体「つばさの党」の幹部らが他陣営の選挙カーを追い回し、大音量で罵声を浴びせた行為に対し、警視庁が逮捕・起訴に踏み切りました。この事件は「演説が聞き取れない状態を作ること自体が選挙の自由妨害にあたる」という判断基準を確立した重要な先例となりました。

つばさの党事件では、「車両を用いた機動的な妨害」が特徴で、選挙カーを使って他候補の車両を執拗に追い回し、街宣車から大音量で罵声を浴びせるという手法がとられていました。

大阪5区との類似点と相違点

大阪5区の妨害行為とつばさの党事件は、「大音量などで候補者の声を遮断し、演説を無力化する」という結果においては共通しています。しかし、手法には違いがあります。

つばさの党事件が「カーチェイス型」であったのに対し、大阪5区の事案は「包囲・密着型」です。候補者の周囲を人間が物理的に取り囲む「肉体的な包囲」が特徴で、演説エリアの境界ギリギリまで詰め寄り、至近距離で太鼓を叩いたり、顔の目の前にプラカードやスマホを突きつけたりする威圧行為が行われています。

しかし、「候補者の発言を遮断し、聴取不能にする」という実質においては両事件は同質であり、法的基準に照らせば違法性が認定されるべき事案と分析されています。

法執行の「ダブルスタンダード」問題

ここで浮上するのが、法執行の公平性という問題です。東京(警視庁)で逮捕された行為が、大阪(大阪府警)では放置されている現状は、「ダブルスタンダード(二重基準)」として厳しく批判されています。

つばさの党事件で示された「演説が聞こえない状態は違法」という基準が現場で適用されないことで、法執行の基準が揺らぎ、選挙ルールの信頼性が失われつつあります。ジャーナリストの門田隆将氏らは、この状況を「税金泥棒」と強く非難しています。

警察の「不作為」はなぜ起きているのか

「札幌地裁判決」の呪縛

警察が現場での即時介入をためらう最大の要因として、2019年の「北海道警ヤジ排除事件」の判決の影響が指摘されています。当時の安倍晋三首相の街頭演説中にヤジを飛ばした市民を北海道警が排除した行為について、裁判所はこの警察の行為を「表現の自由の侵害」として違法と認定しました。

この判決以降、全国の警察は政治的な表現を伴う現場への介入に対して極めて慎重になりました。妨害者を排除した場合に「権力による弾圧」「表現の自由の侵害」として訴えられることを恐れるようになったのです。

しかし、専門家は「個人の肉声による短時間のヤジ(札幌の事例)」と「組織的な大音量による演説遮断(大阪5区の事例)」は法的な性質が全く異なると指摘しています。現場の警察はこれらを混同し、一律に介入を避ける「事なかれ主義」に陥っていると分析されています。

「現場の平穏」優先という論理

警察官は現場に多数配備されていますが、その主な活動は「候補者陣営と妨害団体の物理的な衝突(ケンカ)を防ぐこと」に留まっています。警察官が両者の間に割って入り「壁」を作ることで、物理的な暴力は防げています。

しかし、この対応には皮肉な副作用があります。結果として「妨害側が安全に大音量を出し続けられる空間」を警察が確保・保護してしまっているのです。候補者の演説が騒音で完全にかき消され、聴衆が聴くことができない状態(選挙の自由の侵害)になっていても、警察はその状態を解除するための強制力を発揮していません。

「現行犯逮捕」の放棄

妨害行為は警察官の目前で行われており、現行犯逮捕が可能であるにもかかわらず、警察は「警告」に留め、身柄の確保を行っていません。これが妨害側に「やっても捕まらない」という学習効果を与え、行為のエスカレートを招いています。

警察は「継続性」や「意図」を立証するための証拠収集に慎重になりすぎており、即時の排除を行わない傾向があります。強制排除によって現場が混乱し、警察官や市民に負傷者が出るリスクを回避したいという「事なかれ主義」が、結果として民主主義の根幹である選挙活動の侵害を許しているのです。

市民の反応と選挙への影響

警察への不信感と怒り

目の前で明白な妨害行為が行われているにもかかわらず、警察が制止しない現状に対し、市民は警察の職務放棄と捉え、厳しい目を向けています。「目の前の違法行為さえ制止できない警察に対し、自分たちの安全も守ってもらえないのではないか」という根源的な不安が広がっています。

また、駅前などの公共空間が怒号と騒音で埋め尽くされ、一般市民の平穏が乱されていることに対しても、これを放置する警察への不満が高まっています。

「暴力的な空間」への恐怖

演説会場が怒号や罵声、揉み合いの場と化していることに対し、一般の有権者は「恐怖」を感じています。子供や高齢者を含む通行人にとって、大人が大音量で罵り合い、身体的に接触寸前の圧力をかけている光景は純粋な恐怖であり、強い不快感が示されています。

「候補者の話を聞いてから判断・批判したいのに、そもそも何を言っているか聞こえない」という声もあります。民主的な対話の前提が破壊されているのです。

逆効果としての「同情票」

妨害側の意図とは裏腹に、過激な妨害が「いじめ」として認識され、被害を受けている候補者への支持につながる現象も観測されています。執拗なつきまといや人格攻撃を見た中立的な有権者が、政策の是非とは無関係に、攻撃されている候補者に同情を寄せるケースがあるのです。

「不快感」や「恐怖」が反動となり、かえって保守層の結束を強めるという、妨害側の目的とは逆説的な効果をもたらしているとも分析されています。

今後の展望|法的強制力の強化は可能か

「つばさの党」事件の教訓

「つばさの党」事件は、日本の選挙警備において「音による妨害」も処罰対象となる明確な基準を打ち立てました。この判例が定着すれば、警察は「現場の混乱回避(ケンカ防止)」だけでなく、「違法な音響妨害の排除」へと動かざるを得なくなります。

社会的な批判の高まりを受け、警察庁レベルでより具体的な運用ガイドラインが策定される可能性があります。例えば、「候補者のマイク音量を一定以上上回る音響」を自動的に違法とみなすような、デシベル数などを用いた客観的な基準の導入が議論されています。

事後立件の可能性

現場での即時逮捕はなくとも、詳細に録画・録音された証拠をもとに、選挙後に公職選挙法違反として厳格に立件される可能性は残されています。警察は現場で妨害の「継続時間」「デシベル差」「警告無視の意図」をビデオ等で詳細に記録していると考えられます。

有権者ができること

一般の有権者が選挙妨害の現場に遭遇した場合、身の安全を最優先に確保することが重要です。直接介入は避け、警察(110番)または選挙管理委員会に通報することが適切な対処法です。

通報時は「いつ・どこで・誰が・どのような違反行為を行ったか」を具体的に伝えます。そして最終的には、暴力的な手段で他者の口を封じようとする勢力が「自分の声を代表するに足る存在か」を冷静に見極め、投票を通じて意思を示すことが求められています。

よくある質問(FAQ)

Q1. しばき隊とは何ですか?

しばき隊とは、自らを「カウンター(対抗者)」と呼ぶ市民活動家集団です。特定の候補者の発言を「ヘイトスピーチ」と断定し、その演説を物理的・音響的に阻止することを「正当な社会的制裁」として活動しています。2026年衆院選では大阪5区を中心に組織的な妨害活動を展開しています。

Q2. 選挙妨害は違法ですか?

公職選挙法第225条(選挙の自由妨害罪)では、演説の妨害や威力による妨害を禁止しています。2024年のつばさの党事件では、大音量で演説を聞き取れない状態を作ること自体が違法と判断され、逮捕・起訴されました。罰則は4年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金です。

Q3. 警察はなぜ逮捕しないのですか?

警察が逮捕に消極的な理由は主に3つあります。1つ目は2019年の札幌地裁判決(ヤジ排除違法判決)による萎縮効果、2つ目は「表現の自由」への配慮と法的リスクの懸念、3つ目は現場での物理的衝突回避を優先する方針です。この対応は「不作為」として批判を受けています。

Q4. つばさの党事件と大阪5区の違いは何ですか?

両事件とも大音量による演説遮断という点では共通していますが、手法が異なります。つばさの党事件は街宣車による追走・大音量が特徴で逮捕に至りました。大阪5区では身体的包囲や至近距離での打楽器・罵声が特徴ですが、警察は静観・分離に終始しており、法執行の不統一(ダブルスタンダード)が問題視されています。

Q5. 有権者が選挙妨害の現場に遭遇したらどうすればいいですか?

身の安全を最優先に確保してください。直接介入は避け、警察(110番)または選挙管理委員会に通報することが適切です。通報時は「いつ・どこで・誰が・どのような違反行為を行ったか」を具体的に伝えます。最終的には投票を通じて意思を示すことが、民主主義における最も重要な対処法です。

まとめ|民主主義を守るために

2026年衆院選の大阪5区で発生している選挙妨害は、単なる「激しい抗議活動」ではなく、民主主義の根幹である「選挙の自由」を侵害する深刻な問題です。有権者が候補者の主張を聞き、比較検討した上で投票するという民主主義の基本プロセスが、組織的な妨害によって破壊されつつあります。

「つばさの党」事件という先例がありながら、法執行が統一されていない現状は、「やったもの勝ち」という悪しき前例を作りかねません。警察には、「現場の平穏維持」だけでなく、「候補者が有権者に声を届ける権利」を守るという本来の職務を果たすことが求められています。

私たち有権者にできることは、こうした問題を認識し、投票という民主主義的な手段で意思を示すことです。暴力や騒音で相手の口を封じる行為は、いかなる理由があっても正当化されるべきではありません。選挙という場においては、すべての候補者に平等に政策を訴える機会が保障されるべきです。

参考リンク・外部資料

報道・選挙情報サイト

自治体・公的機関

法律・専門家解説

SNS・識者の意見


免責事項:本記事は公開情報および調査資料に基づいて作成されています。法的な判断については専門家にご相談ください。本記事は特定の政党・候補者を支持・批判する目的ではなく、選挙における公正さと民主主義的プロセスの重要性について情報提供することを目的としています。



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