【2026年最新】日本トムソン(6480)株価予想|業績回復で目標株価1,100円超へ?



東証プライム上場の日本トムソン(6480、ブランド名:IKO)は、ニードルベアリングと直動案内機器を主力とする精密機械部品メーカーです。半導体製造装置や産業用ロボット、医療機器など成長分野への供給で知られていますが、2023年度から2024年度にかけてはシリコンサイクル(半導体市場の景気循環)の調整局面で業績が低迷していました。

しかし2025年11月に発表された2026年3月期第2四半期決算では、営業利益が前年同期比101.3%増と急回復。通期業績予想も上方修正され、市場には「業績底打ち」の期待感が広がっています。本記事では、過去5年間の業績推移から最新の中期経営計画、半導体市場の動向までを網羅的に分析し、今後の株価予想と投資判断のポイントを解説します。

目次

結論:中期的に株価1,100円~1,200円への水準訂正を予想

最初に結論を述べると、日本トムソンは「半導体サイクルの底打ちによる業績回復」と「PBR1倍割れ是正に向けた資本政策への期待」という2つの上昇要因を持っており、中長期的には現在の株価水準(900円台)から1,100円~1,200円レンジへの水準訂正が期待できるフェーズにあると考えられます。

投資判断の根拠は以下の通りです。

1株当たり純資産(BPS)は約1,128円(2025年9月末時点)であり、PBR(株価純資産倍率)1倍への回帰だけで株価は現在の水準から約20%程度の上昇余地があります。さらに、中期経営計画で掲げるROE8%の目標達成と、DOE2.5%を下限とする配当政策への転換により、バリュエーションの見直しが進む可能性があります。

ただし、米中貿易摩擦の激化や世界的な景気後退リスク、為替変動など不確実性も残っており、短期的には市場全体のボラティリティに左右される展開が予想されます。以下、詳細な分析を進めます。

日本トムソンとは?IKOブランドの強みと事業概要

日本トムソン株式会社は、1950年創業の精密機械部品メーカーです。「IKO」ブランドで知られる同社の主力製品は、ニードルベアリング(針状ころ軸受)と直動案内機器(リニアウェイ)の2つに大別されます。

ニードルベアリングは、自動車や産業機械の回転部分に使用される小型軽量の軸受で、同社はこの分野で国内トップクラスのシェアを持っています。一方、直動案内機器は工作機械や半導体製造装置の精密位置決めに不可欠な部品で、近年の売上高に占める割合が増加傾向にあります。

同社の技術的な強みは「小型化」「高精度」「クリーン環境対応」の3点です。特に医療機器分野では、ステンレス製で防錆油を使わずに使用できる製品ラインナップが評価され、手術ロボットや眼科用機器などへの採用が進んでいます。

地域別の売上構成を見ると、日本が約半数を占め、米州、欧州、中国、その他アジアがそれぞれ10~17%程度を占める分散した構成となっています。海外売上比率は50%を超えており、為替変動の影響を受けやすい特性があります。

過去5年間の業績推移:シリコンサイクルに翻弄された軌跡

過去5年間の業績を振り返ると、同社はまさに「シリコンサイクル(半導体市場の景気循環)」の波に翻弄されてきた軌跡が浮かび上がります。

2021年3月期:コロナ禍で赤字転落

新型コロナウイルスの世界的流行により経済活動が停滞し、売上高は443億円に減少。営業利益は5億円の赤字に転落しました。自動車向けや工作機械向けの需要が大きく落ち込んだことが主因です。

2022年3月期:V字回復で増収増益

コロナ禍からの経済再開とともに、半導体製造装置向けの需要が急拡大。売上高は622億円、営業利益は58億円と前年の赤字から大幅に回復しました。

2023年3月期:過去最高益を達成

半導体特需が継続し、売上高682億円、営業利益94億円と過去最高を記録しました。円安効果も業績を押し上げ、ROEは11.0%に達しました。この時期が直近のピークとなります。

2024年3月期:調整局面入りで大幅減益

半導体製造装置向けの在庫調整が本格化し、中国経済の減速も重なり業績は急減速。売上高550億円(前期比19.4%減)、営業利益31億円(同66.6%減)と大幅な減収減益となりました。

2025年3月期:底打ちも低水準で推移

売上高543億円(前期比1.2%減)、営業利益15億円(同49.7%減)と減益が継続しましたが、下期からは回復の兆しが見え始めました。ROEは1.3%まで低下しています。

2026年3月期2Q決算分析:業績回復が鮮明に

2025年11月10日に発表された2026年3月期第2四半期(2025年4月~9月)決算は、市場に業績回復を印象づける内容となりました。

売上高は302.54億円で前年同期比13.3%増と2桁の増収を達成しました。より注目すべきは利益面の急回復で、営業利益は15.43億円と前年同期比101.3%増(2倍以上)に急伸。経常利益も17.76億円で同167.1%増となりました。

地域別に見ると、米州では医療機器やロボット向け、半導体製造装置関連など幅広い産業で底堅い需要が継続しています。中国では景気刺激策による内需回復と大口案件の寄与により売上高が前年同期比52.1%増と急拡大。日本国内もエレクトロニクス関連機器向けが堅調に推移しました。

品目別では、直動シリーズが前年同期比22.3%増と大きく伸びており、実装機等のエレクトロニクス関連機器向けや医療機器、工作機械向けの需要増加が寄与しました。

この好調な中間決算を受け、会社側は通期業績予想を上方修正しました。売上高は当初予想の585億円から605億円へ、営業利益は16億円から31億円へと大幅に引き上げられています。さらに2025年11月時点で再度上方修正が行われ、営業利益は31億円に据え置かれたものの、配当予想は年間26円から28円へ増配されました。

外部環境分析:半導体製造装置市場の回復と成長見通し

日本トムソンの業績を左右する最大の外部要因は、半導体製造装置市場の動向です。同社の直動案内機器(リニアウェイ)は半導体製造装置の精密位置決めに不可欠な部品であり、この市場の成長が同社の売上を大きく左右します。

半導体市場は2025年以降も高成長が継続

半導体業界団体のSEMIによると、2025年の世界半導体製造装置市場は前年比11.0%増の1,157億ドルに達し、過去最高を更新する見通しです。さらに2026年は9.0%増の1,260億ドル、2027年は7.3%増の1,352億ドルと、3年連続の成長が予測されています。

成長を牽引するのはAI関連需要です。生成AIの普及に伴うデータセンター投資の拡大、高帯域メモリ(HBM)への投資活発化、そして2nm世代の先端ロジック投資の本格化が設備投資を押し上げています。

日本半導体製造装置協会(SEAJ)の予測でも、日本製装置の販売高は2025年度に4.86兆円(前年比2%増)、2026年度に5.35兆円(同10%増)と堅調な成長が見込まれています。

地域別では中国の動向が鍵

地域別では、中国が依然として最大市場ですが、米国の輸出規制強化により成長は鈍化する見通しです。一方で台湾はTSMCの2nm投資本格化、韓国はHBMを中心としたDRAM投資の継続により、高水準の投資が続くと予想されています。

日本トムソンにとっては、中国市場の減速リスクを台湾・韓国・米国市場の成長で補えるかが業績回復のペースを左右する重要なポイントとなります。

中期経営計画2026と成長戦略の分析

日本トムソンは2024年4月より「中期経営計画2026 Connect for Growth ~I・K・Oでつなぐ、革新の未来~」を始動しています。2030年の長期ビジョン「IKO VISION 2030」の実現に向けた3年間の成長戦略です。

計数目標の見直し

当初は3か年平均で営業利益90億円以上、ROE8.0%以上を目標としていましたが、2025年5月に目標を見直しました。新目標は「2026年度までに営業利益65億円以上、ROE8.0%以上」の単年度目標へ変更されています。

この目標下方修正は一見ネガティブに映りますが、外部環境の変化を踏まえた現実的な目標設定と評価できます。重要なのはROE8%という資本効率の目標が維持されている点で、これはPBR1倍回帰の根拠となります。

「強い領域」への集中と重点業種

成長戦略の柱は「強い領域の集中強化」と「グローバル体制の再構築」の2本柱です。重点業種として、半導体製造装置、医療機器、産業用ロボットの3分野が挙げられています。

特に注目すべきは米国市場での戦略です。同社はヒューマノイドロボット分野への参入を積極的に進めており、試作品対応などの迅速な受注体制を構築し、量産案件の獲得を目指しています。ヒューマノイドロボットは今後著しい成長が見込まれる分野であり、成功すれば新たな収益柱となる可能性があります。

ベトナム新工場による生産体制強化

生産面では、ベトナム北部クアンニン省に土地使用権を取得し、2026年の新工場稼働を目指しています。これは「チャイナ・プラスワン」戦略の一環であり、地政学リスクの分散と生産コストの低減、そして半導体関連の需要拡大に対応する供給能力の確保という3つの目的を持っています。

日本、中国、ベトナムの3拠点体制が整備されれば、顧客の要求に応じた最適地生産が可能となり、リードタイム短縮とコスト競争力の両立が期待できます。

株主還元政策:配当増額とDOE導入で積極姿勢に転換

投資家にとって重要な変化が、株主還元政策の強化です。2025年5月に発表された新方針では、配当下限の目安としてDOE(自己資本配当率)2.5%が新たに設定されました。

これは業績変動にかかわらず安定的かつ高水準の配当を実施するという明確な意思表示です。従来の「業績連動型」から「資本連動型」への転換により、減益期でも一定水準の配当が維持される安心感が生まれます。

実際に2026年3月期の配当予想は、当初の年間26円から28円へと増額されました。これは前期の19円から約47%の増配となり、配当利回りは現在の株価水準で約3%に達します。

加えて、総還元性向50%以上の方針は継続され、機動的な自社株買いの実施も検討されています。ROE向上のためには分子(利益)の増加だけでなく、分母(自己資本)の適正化も重要であり、積極的な株主還元は資本効率改善にも寄与します。

バリュエーション分析と株価予想

現在の株価水準(900円台)に対する投資価値を検証します。

PBRによる理論株価

2025年9月末時点の1株当たり純資産(BPS)は1,128.72円です。現在の株価937円前後に対してPBRは約0.83倍となり、解散価値(PBR1倍)を割れた水準にあります。

東京証券取引所はPBR1倍割れ企業に対して改善策の開示を要請しており、日本トムソンも「PBR1倍超の早期実現」を明確な経営目標として掲げています。PBR1倍回帰だけで株価は1,128円となり、現在の水準から約20%の上昇余地があります。

PERによる評価

2026年3月期の会社予想EPS(1株当たり純利益)は41.85円です。現在の株価937円に対するPERは約22倍となります。

中期経営計画の目標であるROE8%が達成され、BPS1,100円を維持した場合、理論上のEPSは88円となります(1,100円×8%)。仮にPER12~14倍(同業他社平均並み)で評価すれば、株価は1,056円~1,232円のレンジが妥当ということになります。

配当利回りによる下値サポート

年間配当28円に対して株価937円での配当利回りは約3.0%です。日本の機械セクター平均(2%前後)を上回る水準であり、配当投資家からの買い需要が株価の下値をサポートすると考えられます。

仮に株価が800円まで下落した場合、配当利回りは3.5%に上昇し、インカムゲイン狙いの買いが入りやすい水準となります。

目標株価の設定

以上の分析を総合すると、中期的な目標株価は1,100円~1,200円と予想します。主な前提条件は、半導体製造装置市場の回復継続、中期経営計画の着実な進捗、そしてROE8%達成に向けた資本政策の実行です。

短期的には為替変動や市場全体のリスクオフ局面で株価が上下する可能性がありますが、業績回復トレンドが継続する限り、PBR1倍への収斂が進むと予想されます。

リスク要因:投資判断で考慮すべき点

投資判断にあたっては以下のリスク要因に留意が必要です。

シリコンサイクルの再調整リスク

半導体市場は景気循環の影響を受けやすく、現在の回復基調が反転する可能性があります。特にAI関連投資の過熱感が指摘されており、期待剥落時には設備投資が急減速するリスクがあります。

地政学リスクと貿易摩擦

米中対立の激化や米国の関税政策による貿易コスト上昇は、同社のグローバルサプライチェーンに影響を与える可能性があります。特に中国市場での事業に不透明感が残ります。

為替変動リスク

海外売上比率が50%を超えるため、急激な円高は業績にマイナス影響を与えます。2026年3月期の会社予想は1ドル=140円、1ユーロ=160円を前提としており、円高が進めば下方修正リスクがあります。

原材料コストの上昇

鋼材価格やエネルギーコストの上昇は利益率を圧迫する要因となります。コスト転嫁が十分に進まない場合、売上高が増加しても利益が伸び悩む可能性があります。

まとめ:中長期投資に適した局面

日本トムソン(6480)は、シリコンサイクルの調整局面から回復フェーズに移行しつつあります。2026年3月期2Qの決算で業績底打ちが確認され、通期予想の上方修正と増配発表は市場に好感されました。

PBR0.8倍台という割安なバリュエーション、配当利回り3%のインカムゲイン、そして半導体製造装置市場の構造的成長という追い風を考慮すると、中長期的な投資対象として魅力的な局面にあると考えられます。

中期経営計画で掲げるROE8%の達成、PBR1倍超への回帰という経営目標が実現すれば、株価1,100円~1,200円への水準訂正は十分に達成可能です。短期的な価格変動にとらわれず、業績回復と資本政策の進捗を見守りながらポジションを構築していくのが合理的な投資アプローチと考えます。

なお、本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

よくある質問(FAQ)

Q1: 日本トムソンの主力製品は何ですか?

A1: 日本トムソンの主力製品は「IKO」ブランドで知られるニードルベアリング(針状ころ軸受)と直動案内機器(リニアウェイ)です。ニードルベアリングは自動車や産業機械の回転部分に、直動案内機器は半導体製造装置や工作機械の精密位置決めに使用されています。

Q2: 2026年3月期の業績見通しはどうなっていますか?

A2: 2026年3月期の通期予想(2025年11月時点の修正後)は、売上高605億円(前期比11.2%増)、営業利益31億円(同94.6%増)、純利益29億円(同196.5%増)となっています。前年度の低迷から大幅に回復する見通しです。

Q3: 配当はいくらもらえますか?

A3: 2026年3月期の年間配当予想は28円(中間14円、期末14円)です。前期の19円から約47%の増配となり、現在の株価水準で配当利回りは約3%となっています。

Q4: PBR1倍割れとはどういう意味ですか?

A4: PBR(株価純資産倍率)1倍割れとは、株価が1株当たり純資産(BPS)を下回っている状態を指します。日本トムソンのBPSは約1,128円であるのに対し、株価は937円前後で推移しているため、理論上は会社を解散した場合の価値よりも株価が安いという割安な状態にあります。

Q5: 半導体市場が好調なのに株価が上がらないのはなぜですか?

A5: 半導体市場全体は好調ですが、日本トムソンの業績回復はまだ道半ばです。2023年3月期のピーク時と比較すると売上高、利益とも大幅に低い水準にとどまっており、市場は完全な回復を確認するまで慎重な姿勢を維持していると考えられます。また、中国市場の不透明感や為替リスクなども株価の重しとなっています。

Q6: 競合他社と比較した日本トムソンの強みは何ですか?

A6: 日本トムソンの強みは「小型化」「高精度」「多品種少量生産への対応力」です。特に医療機器や半導体製造装置など、極めて高い精度と清浄度が求められる分野で強みを発揮しています。また、顧客の個別ニーズに応じたカスタマイズ対応力も差別化要因となっています。

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