序章：奪われた平穏な日常

埼玉県川口市に30年以上住む田中さん（仮名・65歳）は、最近になって初めて自宅に防犯カメラを設置しました。「以前はこんなもの必要なかった。でも今は違う。夜中に家の前で大声で騒ぐ声、改造車の爆音、庭に投げ込まれるゴミ…もう我慢の限界です」

田中さんのような声は、川口市や蕨市の至る所で聞かれます。かつては静かな住宅街だった地域が、今では「無法地帯」と化していると訴える住民が後を絶ちません。その原因として多くの住民が指摘するのが、急増するクルド人による迷惑行為や犯罪です。

本記事では、実際に被害を受けている住民の証言を中心に、川口市・蕨市で何が起きているのか、その実態を詳細に記録します。同時に、なぜこのような事態が生じているのか、その背景にある制度的な問題についても分析を行います。

第1章：住民が直面する深刻な被害の実態

1.1 深夜の騒音に苦しむ住民たち

「もう3年間、まともに眠れていません」

川口市の閑静な住宅街に住む佐藤さん（仮名・45歳）は、疲れ切った表情でそう語ります。IT企業に勤める佐藤さんは、コロナ禍でテレワークが始まってから、自宅での仕事に集中できなくなりました。

騒音問題は深夜の宴会だけではありません。特に深刻なのが、改造車による爆音です。マフラーを改造した車やバイクが、深夜から早朝にかけて住宅街を走り回り、空ぶかしを繰り返します。

蕨市に住む80代の女性は、「この年になって、耳栓をして寝るようになるとは思わなかった」と嘆きます。騒音による睡眠不足で体調を崩し、病院に通うようになったという高齢者も少なくありません。

1.2 ゴミ問題：崩壊する地域の衛生環境

騒音と並んで深刻なのが、ゴミの不法投棄問題です。川口市のゴミ収集所の多くで、分別ルールが完全に無視され、指定日以外の日にも大量のゴミが投棄される事態が常態化しています。

支援団体がクルド人向けにゴミの分別方法を説明するチラシを配布していますが、改善は見られません。それどころか、最近では家具や家電製品などの粗大ゴミを、収集所ではない場所に勝手に投棄するケースも増えています。

1.3 交通違反と危険運転の恐怖

住民を恐怖に陥れているもう一つの大きな問題が、交通ルールを無視した危険運転です。無免許運転、信号無視、逆走、歩道の走行など、日本では考えられないような運転が日常的に目撃されています。

小学生の子供を持つ母親たちからは、「子供を一人で外に出すのが怖い」という声が多く聞かれます。

1.4 威圧的行為と暴力事件

さらに深刻なのが、集団での威圧的な行為や暴力事件です。コンビニ前や公園、路上などで、クルド人男性が集団でたむろし、通行人を威圧するような行為が頻繁に報告されています。

特に女性や子供、高齢者は強い恐怖を感じており、夜間の外出を控えるようになったという声が多数寄せられています。

1.5 公共空間の占拠と子供たちへの影響

地域の公園は、もはや日本人の子供たちが安心して遊べる場所ではなくなりました。クルド人の集団が公園を占拠し、大声で騒ぎ、ゴミを散らかし、時には違法薬物の取引が行われているという目撃証言もあります。

学校でも問題が生じています。クルド人の子供による日本人児童へのいじめや暴力が報告されており、一部の保護者は子供を私立学校に転校させることを検討しています。

第2章：行政の対応と住民の絶望

2.1 警察の消極的対応

住民が最も不満を感じているのが、警察の対応です。110番通報をしても、なかなか来てくれない、来ても注意だけで終わる、「民事不介入」を理由に動いてくれない、といった声が数多く寄せられています。

警察官自身も、言葉の壁や文化の違い、そして在留資格の複雑さから、対応に苦慮していると言われています。しかし、その結果として、被害を受けている住民が放置される状況が続いています。

2.2 医療費未払い問題：市民の税金が使われる現実

仮放免者は国民健康保険に加入できないため、病院での治療費は全額自己負担となります。しかし、多くの場合、高額な医療費を支払うことができず、結果として未払いのまま放置されます。

この未払い分は最終的に病院の損失となり、それを補填するために税金が投入されることになります。つまり、まじめに税金を納めている市民が、間接的に仮放免者の医療費を負担している構図です。

2.3 川口市長の苦悩と国への要望

2023年9月、川口市長は異例の行動に出ました。国に対して、住民の安全確保と制度的解決を求める要望書を提出したのです。市長は「これは国の入国管理政策に起因する問題であり、一自治体では解決できない」と訴えました。

しかし、国からの具体的な対応はなく、むしろ2024年6月には改正入管法が施行され、難民申請を繰り返す者への規制が強化されました。これは一見、問題解決に向けた動きに見えますが、実際には仮放免者をさらに追い詰め、不法行為を助長する可能性があると指摘されています。

第3章：なぜこのような事態が生じたのか

3.1 仮放免制度という構造的欠陥

問題の根本には、日本の「仮放免」制度があります。これは在留資格ではなく、退去強制令書が出された者に対する収容の一時的な停止措置に過ぎません。

就労が禁止されているため、生きていくためには不法就労するしかありません。健康保険がないため、病気になっても病院に行けず、緊急搬送された場合は高額な医療費が未払いになります。このように、仮放免制度そのものが、不法行為を生み出す構造になっているのです。

3.2 難民認定率ほぼゼロの現実

日本におけるトルコ国籍者（その大半がクルド人）の難民認定率は、裁判所が命じた1件を除いて、事実上ゼロです。これは他の先進国と比較して異常な低さです。

法務省は「トルコではクルド人への迫害は難民条約が定めるレベルに達していない」との見解を示していますが、これは国際社会の認識とは大きく異なります。

3.3 「偽装難民」というレッテル

政府やメディアの一部は、クルド人申請者を「偽装難民」「経済移民」と呼んでいます。確かに経済的動機もあるでしょう。しかし、迫害から逃れつつ、より良い生活を求めることは両立する話です。

問題は、日本の制度が「100％の迫害」か「100％の経済目的」かという極端な二分法でしか判断できないことです。現実はもっと複雑で、多くの人が政治的迫害と経済的困窮の両方から逃れてきています。

第4章：悪化する地域社会の分断

4.1 ヘイトスピーチとSNSでの拡散

川口市・蕨市での問題は、SNSを通じて全国に拡散され、時に事実とは異なる形で広まっています。「クルド人は全員犯罪者」「日本を乗っ取ろうとしている」といった極端な言説が飛び交い、ヘイトスピーチも横行しています。

2024年11月、さいたま地方裁判所は、日本クルド文化協会の周辺でのヘイトデモを禁止する仮処分を決定しました。これは画期的な判断でしたが、オンライン上でのヘイトは止まりません。

4.2 支援団体と住民の対立

クルド人を支援する団体と、被害を訴える住民との間にも深い溝があります。支援団体は「差別だ」「人権侵害だ」と主張し、住民は「きれいごとを言うなら、あなたの家の隣に住んでもらえ」と反発します。

4.3 若い世代の苦悩

特に深刻なのが、日本で生まれ育ったクルド人の若者たちの状況です。彼らは日本語を母語とし、日本の学校に通い、自分を日本人だと思っています。しかし、法的には「仮放免者の子供」であり、将来への道は閉ざされています。

大学に行きたくても在留カードがないため入学できず、就職もできません。結局、父親と同じ解体業などの仕事に就くしかなく、そこでまた不法就労として摘発されるリスクを抱えます。

このような状況は、新たな社会不安の温床となっています。将来に希望を持てない若者たちが、非行や犯罪に走るリスクは否定できません。

第5章：他国の事例から学ぶ

5.1 ドイツの統合政策

同じくトルコ系・クルド系移民を多く抱えるドイツでは、日本とは全く異なるアプローチを取っています。

ドイツも完璧ではありません。移民による犯罪や社会的軋轢は存在します。しかし、少なくとも「統合」を前提とした制度設計により、多くの移民が正規の仕事に就き、納税者となっています。

5.2 日本の選択：排除か統合か

日本の現在の政策は、明らかに「排除」を目指しています。難民として認めず、かといって強制送還もせず、仮放免という中途半端な状態に置いて、自主的に帰国することを期待しているように見えます。

しかし、この政策は明らかに失敗しています。クルド人は帰国せず、むしろ家族を呼び寄せ、子供が生まれ、コミュニティは拡大しています。そして、不法就労や医療費未払いなどの問題が深刻化し、地域住民との摩擦が激化しています。

第6章：解決への道筋

6.1 短期的対策：法執行の強化

まず必要なのは、現行法の厳格な執行です。騒音、ゴミの不法投棄、危険運転、暴力行為などは、国籍に関係なく取り締まるべき違法行為です。

「差別だ」という批判を恐れて法執行を躊躇することは、かえって住民の不満を高め、本当の差別や排外主義を助長することになります。

6.2 中期的対策：制度改革

根本的な解決のためには、仮放免制度の見直しが不可欠です。

これらの改革により、不法就労や医療費未払いなどの問題の多くは解決できるはずです。

6.3 長期的展望：共生社会の実現

最終的には、日本社会がどのような国を目指すのかという根本的な問いに答える必要があります。

現実を直視すれば、すでに日本には多くの外国人が住んでおり、今後も増加することは避けられません。その中で、排除と対立の道を選ぶのか、それとも統合と共生の道を選ぶのか。

川口市・蕨市の現状は、日本の将来の縮図かもしれません。今、適切な対応を取らなければ、同じような問題が全国に広がる可能性があります。

結論：住民の声に耳を傾け、現実的な解決を

本記事では、川口市・蕨市でクルド人による迷惑行為に苦しむ住民の声を中心に、問題の実態を詳しく見てきました。

住民の苦情は、決して「差別」や「排外主義」ではありません。誰もが持つ、平穏に暮らす権利を求める当然の声です。深夜の騒音で眠れない、ゴミで街が汚される、交通ルールを守らない車に怯える、子供を安心して外で遊ばせられない…これらは、国籍に関係なく、誰もが共感できる切実な問題です。

同時に、この問題の背景には、日本の硬直的な難民制度と、問題だらけの仮放免制度があることも明らかになりました。就労を禁止し、健康保険も与えず、将来への希望も閉ざす…このような制度が、不法行為を生み出し、地域社会との摩擦を激化させています。

解決のためには、以下の3つのアプローチが必要です：

川口市長が国に支援を求めたように、これは一自治体だけで解決できる問題ではありません。国全体として、この問題にどう向き合うのか、真剣な議論が必要です。

最後に、苦しんでいる住民の皆さんに伝えたいことがあります。あなたたちの声は正当なものです。平穏に暮らす権利を求めることは、差別ではありません。しかし同時に、問題の本質が個人の資質ではなく、制度の欠陥にあることも理解していただきたいと思います。

感情的な対立ではなく、冷静な分析と建設的な対話を通じて、すべての人が安心して暮らせる社会を作ることは可能です。それは簡単な道ではありませんが、避けて通れない日本の課題なのです。

この声が、問題解決への第一歩となることを願っています。