ボーイング787初の致命的事故：エア・インディア機墜落が示す航空安全の新たな課題

2025年6月12日、航空業界に衝撃が走った。これまで非常に高い安全性を誇っていたボーイング787型機が、インド西部アーメダバードで初めての致命的な墜落事故を起こしたのだ。241名の尊い命が失われたこの事故は、航空安全の新たな転換点となる可能性がある。

事故の概要：わずか30秒で起きた悲劇

2025年6月12日午後1時38分、エア・インディア171便（ボーイング787-8型機、通称ドリームライナー）は、アーメダバード空港からロンドン・ガトウィック空港へ向けて離陸した。しかし、離陸からわずか30秒から5分後、機体は市街地のBJ医科大学医師宿舎に墜落した。

事故機の基本情報：
• 機種：ボーイング787-8型機（機体登録記号：VT-ANB）
• 製造年：2012年（初期ロット）
• 搭乗者数：242名（乗客230名、乗員12名）
• 犠牲者数：241名（生存者1名）

防犯カメラの映像には、機体が滑走路を飛び立った後、ゆっくりと高度を下げながら住宅街に落ちていく様子が記録されていた。目撃者によると、機体は車輪を出したまま、機首を上に向けたまま徐々に高度を下げていき、その後大きな炎が上がったという。

ボーイング787型機は、2009年の商業運航開始以来、技術的なトラブルはあったものの、これまで一度も致命的な事故を起こしていなかった。「ドリームライナー」の愛称で親しまれ、燃費効率の良さと快適性で世界中の航空会社に採用されてきた機種だ。

しかし、いずれも改善策が講じられ、致命的な事故には至らなかった。

今回の事故機は2012年製造の初期ロットに分類され、運航年数は10年以上となっていた。初期型には構造部材や電子系統に設計変更が加えられた経緯があり、その関連性が注目されているが、機齢が直接的な事故原因かは断定されていない。

事故原因はまだ特定されていないが、専門家の分析から以下の可能性が浮上している。

複数の航空専門家が、離陸直後に2つのエンジンが同時に停止した可能性がかなり強いと指摘している。正常にエンジンが作動していれば、もっと上昇角度があるはずだという。パイロットが発信した「メーデー」信号も、この説を裏付ける要素となっている。

注意すべき点：
航空事故の原因は通常、単一の要因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発生することがほとんどである。断定的な結論を出すには、フライトデータレコーダー（ブラックボックス）の解析が不可欠だ。

現在、インド当局に加えて、米国の運輸安全委員会（NTSB）と英国の航空事故調査局（AAIB）の調査チームが原因究明を進めている。ボーイング社も調査に全面的に協力する姿勢を示している。